2015/06/03

オセロ

【発売】河田
【開発】HAL研究所
【発売日】1986年11月13日
【定価】4,900円
【媒体】ファミコン用カートリッジ
【容量】256Kbit
【ジャンル】テーブル



高齢者も盤と同じ感覚で遊べる唯一のコンピュータオセロ


【概要】
 「ダイヤブロック」や知育玩具で有名な河田(現カワダ)がディスクカードとカートリッジの両方で発売したファミコン初にして唯一のオセロゲーム。版元であるツクダオリジナル(現メガハウス)からの正式ライセンス商品である。


【ゲームシステム】
 ゲームシステムも何も、誰もが知っているフツーのオセロである。白とか黒とか最初に言い出したのは誰なのかしら?対コンピュータ戦でのレベルと制限時間こそ選べるが、あとはごくごくオーソドックスなオセロゲームだ。タイトル画面やメニュー画面ではBGMが流れるが、対戦中は効果音のみ。コンピュータはデフォルト設定で4段階まで強さを選べ、レベル4に勝つと新たにレベル5が現れる…らしいが、ちょっとばかり顔がいい事以外に何の取り得もない僕はヘタクソなのでそこまで行けません(涙)。

 本作の特徴はゲーム内容ではなく、むしろその販売方法にあった。当時はカートリッジのゲームが後に500円の書き換え専用でディスク化される事はあったが、本作は先にパッケージ化されたディスクカード版が2,980円で発売され、その1ヶ月後にこのカートリッジ版が発売されるという珍しいパターンだった。発売前のチラシには最初から両方のメディアで発売する旨が明示されていたが、内容は全く同じなのにメディアが違うだけで定価に2,000円もの差を付けていたのは、ディスクシステムが最も期待されていた時期だったからだろう。


【総評】
 必要最低限の演出で、本当に「コンピュータ化した」という部分が最大の利点なのだが、これはこれで全然オッケーだと思う。余計なキャラクターや過剰な演出がないぶん、メーカーのストイックというか真面目な姿勢やヨシ!と子供心に思っていたくらいだ。

 オセロは長谷川五郎氏(現日本オセロ連盟会長)が戦後間もなく「リバーシ」を基に考案し、73年にツクダが商品化したボードゲームだ。「A minute to learn,a lifetime to master.(覚えるのに1分、極めるのに一生)」というキャッチフレーズ通り、単純なルールと奥深いゲーム性で、76年から毎年世界選手権大会が、13年からは「オセロワールドカップ」も開催されており、愛好家は世界中の老若男女に広がっている。また、その特性から社会復帰を目指す人達のリハビリに利用している医療機関もある他、近年は老人ホームなどにも常備されており、国内では高齢者にも愛好家が多い。

 僕の祖母も時々オセロをやっていた。祖母は戦後、祖父と共に大分県の山奥で椎茸栽培と牧場を営みながら一男三女を育て、趣味を持つ時間なんてほとんどなかったんじゃないかと思っていたが、いつぞや遊びに行った際にニコニコしながらオセロをやっていた事があった。そんな祖父母が我が家に10日ほど滞在した時、僕はここぞとばかりに「ばあちゃん、ファミコンしようや!」と半ば強引に本作で対戦したのだ。当時80間近の祖母がファミコンを触った事などあるはずもなかったが、このゲームは石を置くだけなので、祖母でもすんなりプレイする事ができた。本作のストイックな作りを僕が肯定する理由はここにあったりするわけだ。

 余計な物を何も足さず、しかし必要な要素は何も引いていない、高齢者でも盤と同じ感覚で遊べる唯一のコンピュータオセロ、それが本作である。あれから10年、祖父は6年前、祖母も昨年90歳で他界した。極めて地味ではあるが、この真面目な作りのおかげで祖母にビデオゲームを体験してもらった事、一緒に対戦できた事が今ではなんとはなしに嬉しい思い出のソフトなのだ。ちなみに、10日間対戦して祖母には結局一度も勝てずじまいだった。ばあちゃん、えれー強かったなぁ…。



PRODUCT OF KAWADA. LICENSED FROM TSUKUDA ORIGINAL. COPYRIGHT 1986 ALL RIGHTS RESERVED.
※「オセロ」及び「Othello」は株式会社メガハウスの登録商標です。

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