2015/11/04

エクセリオン

【発売】ジャレコ
【開発】トーセ
【発売日】1985年2月11日
【定価】4,500円
【媒体】ファミコン用カートリッジ
【容量】192Kbit
【ジャンル】シューティング




独特のシステムで他社との差別化を図った意欲作


【ストーリー】 
 宇宙世紀2991年。青銀河CP17ゼニスの第6惑星「エクセリオン」は、かつて友好関係にあった第7惑星「ゾルニ」の奇襲を受けた。ゾルニ軍撲滅のため、エクセリオン軍の最新鋭迎撃機「ファイターEX」は次々と発進して行った…。


【概要】
 オリジナル版は83年にジャレコがアーケードで発売した縦スクロールシューティングゲーム。擬似3Dによる背景描写や、自機にかかる独特の慣性、敵を連続して撃ち落とす事でスコアが増加する「コンボボーナス」など、特徴的な要素を盛り込んで『スペースインベーダー』(タイトー)や『ギャラクシアン』(ナムコ)との差別化を図った意欲作。本作がジャレコのファミコン参入第1弾ソフトとなる。


【ゲームシステム】
 擬似3Dによる縦スクロールシューティングゲーム。山岳地帯、草原、未来都市、遺跡の4ステージ+ボーナスステージによるループ。自機の「ファイターEX」には慣性がかかっており、逆方向のボタンを押してバランスを取る必要がある。攻撃方法は2種類。連射ができるものの弾数に限りがある「シングルビーム」と、連射はできないが弾数制限がなく2発同時に発射できる「デュアルビーム」を使い分ける。シングルビームは敵を倒す事でチャージされるため、コンボボーナスを狙って1発も撃ち漏らさなければ弾数は相殺されて減らない仕組みだ。また、ボーナスステージでは、弾数制限が解除されるので、弾数を減らさずにチャージできる。

【総評】
 本作は特に昨今のインターネット上で低評価を受けているが、実際にプレイしてみれば、その評価の多くが表面的なものである事が分かるだろう。確かに独特の操作感覚に慣れるまでは戸惑うが、トップビュー形式の固定画面の体裁を取りながら、自機も敵機も縦横無尽に動き回る全方位スクロールの要素を組み合わせ、緊張感あるドッグファイトの表現に成功している。また、画面の左右両端は繋がっているのだが、この「空間」は敵機のみしか移動できない事も、プレイヤーに戦闘空間の広さを感じさせる。画面下部の擬似3Dも当時としては珍しく、『スペースハリアー』(セガ・エンタープライゼス)を彷彿とさせるが、登場は本作オリジナル版の方が2年も早い。

 緊張感を生み出す要素は他にもある。慣性がかかるため、敵機の動きを先読みしながら出現パターンを覚え、シングルビームで一掃。一方のデュアルビームは、自機から発射した弾は敵機に当たるか画面外に消えるまで次弾を撃てない。どちらを使うにせよ、無駄弾を撃たずに連続して敵機を撃墜し、コンボボーナスを狙うのだ。そして、その攻撃のパターン化による緊張感の薄れを回避しつつ、他社との差別化を図るために慣性が加えられた。いや、全部僕の想像ですけどね。『忍者じゃじゃ丸くん』の項でジャレコの体たらくっぷりを嘆いたが、本作開発時のジャレコにはその独特のセンスを活かす技術と意欲があったため、そこまで考えて作っていたとしても不思議ではない気がするのだ。

 何の世界であっても、他とは違う新しい試みを実践する際に失敗は付き物だ。本作の試みがゲームとして「失敗」とは思っていないが、人を選ぶ作品なのは確か。比較的低学年層の多かったファミコン用ソフトの中では、必ずしも「成功」とは言えないのかもしれないが、後年になって「クソゲーとして笑ってやろう」という安易なレビューが掃いて捨てるほど生まれた時に、なぜか本作はよく取り上げられるフビンな作品のひとつである。僕はヒットを狙った大作主義の安牌ゲームよりも、少々イビツになっても新しい試みをする開発者の志が見え隠れしたゲームの方に惹かれる。この『エクセリオン』もそんなゲームのひとつなのだ。



(C)1986 JALECO LTD.

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